投資をする上で
最低限の心得のひとつのバイアスについて今日は書きたいと思います。
バイアスとは簡単にいうと「先入観や思い込み」のことです。
辞書では「傾向、偏向、誤った認識」などとも書いています。
投資をする上でこのバイアスというのが邪魔になるときが沢山あります。
相場というのはすべての人がインサイダー(予め株価がどう動くか情報を持っている)でも無い限り
同じものをみて判断して売り買いしています。(多少の情報格差はあるとはおもいますが)
同じ情報を持ったAさんとBさんがいたとして
同じ条件で株の取引をした場合でも心理状態や性格、環境、考え方、様々な要因でAさんとBさんの投資成績は大きく変わって来ます。
ほぼすべての人は多かれ少なかれ必ずバイアスに支配されています
株価や為替価格が上昇しようが下落しようが
実際、どちらに動こうが同じ相場上でも利益を出す人は出しますし損する人は損します。
そこで本日は投資をする際に覚えておくべきバイアスの2つをご紹介します。
①現状維持バイアス
博士ーっ。現状維持バイアスってなに?
合理的では無いのに、知らないものや変化を避けて今の現状を選択してしまう心理のことだよ
なるほど~
~現状維持バイアスは投資でどのように作用するのか?~
負けるパターン一つにこの現状維持バイアスによるものがあります。
例えばある会社Aという銘柄の株を保有していたとします。
会社Aが確定では無いのですがなんとなく不安な要素が出てきていたとします。合理的に考えれば「わからなければ株を売って逃げるのが懸命です。」
しかしこの現状維持バイアスがはたらくと現状を基準とし、そこからの変化を嫌い気づいたときには逃げ遅れ大きな損失を出してしまうのです。
逆もしかりです。会社Aに好調な要素がでているとき合理的に考えれば「買うべきだったとします」その場合は機会損失という形で損をします。
つまり多くの人は現状を変化させるのに心理的なハードルがあることを理解しましょう。
今の職場の人間関係最悪~。でもどうせ転職しても、嫌な人はどこにでもいる。よし!やめとこう。
それ!悟空ちゃん現状維持バイアスだよ
ふふふ。世の中、嫌な人ばかりとはかぎらない。(ボソッ)
「現状維持は後退である。」や「現状維持は退化である。」などの沢山の名言がある通り
ときには恐れずに変化することも必要です。
かの有名なイギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンは次のように言っていたそう
「生き残っていく種というのは、最も強いものではなく、最も賢いものでもない、最も変化出来るものだ」と
つまり現状維持バイアスに縛られるものは生存からは遠いと100年以上昔から言われているのである。
②プロスペクト理論
皆さんはプロスペクト理論というものをご存知でしょうか?
有名な理論なのでご存じの方は多いと思います。
イスラエルの心理学者「ダニエル・カーネマン」さんが提唱した理論で人は儲けより損失の方が心理的ダメージを受けるというものです。
すごーーーく簡単に言うと
「1万円もらえるより1万円なくなる方がしんどい」みたいな感じです。
これだと妙に納得いきませんか?
そんなこと無いと思う方も沢山いると思いますが
株や為替(FX)なんかをやっているとこの心理が無意識に出たりするのがよくわかります。
1つ例をご紹介させていただきます。
この事例から学ぼう
プロスペクト理論が作用した例
Aさんはある株の購入を考えていた。
今後1800円くらいまでは様々な要因で上がると予想していた。
しかしながら不安な要素も多く、暴落の可能性もそれとなく見越していたが購入をきめた。
1株1500円で購入した株はどんどん上昇し始め、気付けば1700円になっていた。
プラスのうちに利益を確定しようと思い、1株1700円の時点で利益を確定した。
しかし株価はさらに上昇1株1800円まで上昇した。
慌ててまだまだ上がるのではないかと思い、再び1株1800円で購入した。
しかし株価はそこで上げ止まり、1800円を少し過ぎたところから急落した。
急落の勢いは激しく、すでに最初の利益分よりとっくにマイナスに突入していたが、一度は利益が出ていたため損失の確定を嫌った。
Aさんは、さらにまた上がってくると都合よく解釈し損切りをしなかった。
気付けばそのまま株価は大暴落、結果的に大きな損失を出してしまった。
この事例では3度も損を嫌うプロスペクト理論がはたらいたと考えることが出来ます。
その①【まず最初に1700円で利益確定した】
当初Aさんは1800円まで上がると考えていました。しかし、確実に利益を出すことを選んだAさんは1700円の時点で利益確定を選択しました。Aさんの心理としては1700円の段階で、一旦得したという感情が芽生えてしまったのです。得をしたと感じたAさんはこれ以上損することを嫌い本来1800円まで伸びると考えていたのにも関わらず早い段階で利益を確定してしまいました。まさに損を避けたくなるプロスペクト理論といえます。
その②【次に1800円の段階でもう一度購入】
Aさんは最初にうまく利益を得ることができました。しかしながら勢いよく上昇する株価をみて慌てて1800円の段階でもう一度購入しています。これはまさにもう一度買わないと、このまま上昇を続けたとき損をしてしまうと考えてしまったのです。機会損失ともいいますが、損を嫌うプロスペクト理論により思わず反射的に購入してしまった訳です。当初は1800円あたりを予想していたので冷静になればここでの買うのは見送るべきですが、あまりに勢いよく跳ね上がったので、つられて心理的に行動してしまったのです。このように思いに反しての心理的なバイアスがかかると人は行動を起こすこともあるのです。
その③【最後は損切りをしなかった】
Aはこの銘柄の株に対し不安な要素もしっかり認識していました。本来は最初に購入した時点で株価が下落するならすぐに売るつもりだったのです。しかしながらAさんは相場の動きに惑わされ心理状態から損失を出してしまいました。Aさんは損することを嫌うあまり損切りを躊躇しプロスペクト理論の効果によって結果的にさらなる損失を出してしまったのです。
事例のまとめ
①利益確定しないと下がったら損をすると考えた。
②購入しておかないと上がり続けたとき損をすると考えた。
③損失を確定するのが嫌で損切りできなかった。
悟空ちゃん。理解できたかな?
もしかして投資する人より保険に入る人が多いのもプロスペクト理論が関係するのかな?
すごいじゃないか!悟空ちゃん。完璧に理解してるね。
ふふふ(ボソッ)
もし仮に投資で5000万円もうける確率と交通事故にあって5000万円の保険が降りる確率が同じだったとします。
その場合、ほとんどの人は車の保険に入る可能性が高いとされています
それは、もし仮に投資で5000万円の儲けが出れば今よりリッチな生活がのぞめますが、事故にあったときの損失の方が心理的な負担が大きいためです。
人は同じ確率であっても心理的に負担の大きいものを嫌い避けようとします。
5000万円得すれば今より良い暮らしができますが、5000万円損すれば今の暮らしが維持できなくなります。
そうなれば全力で今の生活を守ろうとします。損しないために保険を選ぶ心理
なんとなく納得できますよね。
得より損を嫌う
まさにこのブログそのものがプロスペクト理論かもしれませんね。笑